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岐阜地方裁判所 昭和58年(わ)4号 判決

本籍及び住居

岐阜県大垣市三塚町一二二二番地

会社役員

岡田正國

昭和一四年九月二一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官渡辺恵一出席のうえ、審理をし、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金一、〇〇〇万円に処する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

右罰金を完納することができないときは金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、岐阜県大垣市三塚町一、二二二番地において「大垣サウナ」の名称でサウナ風呂を経営していたものであるが、売上の一部を除外し、これによって得た資金を架空名義による割引債券の取得等に充てるなどの方法により、自己の所得税を免れようと企て、

第一  昭和五四年分の実際所得金額が三、八一七万一、七八四円で、これに対する所得税額が一、六七九万七、四〇〇円であるのに、右実際所得金額中二、三七五万一、二八〇円を秘匿した上、同五五年三月一三日、大垣市丸の内二丁目三〇番地所在の大垣税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、四四二万五〇四円でこれに対する所得税額が三九七万二、四〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、前記正当税額との差額一、二八二万五、〇〇〇円の所得税を免れ、

第二  同五五年分の実際所得金額が四、四九六万五、一〇三円で、これに対する所得税額が二、一〇三万三、七〇〇円であるのに、右実際所得金額中二、九九三万一、七一六円を秘匿した上、同五六年三月一三日、前記大垣税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、五〇三万三、三八七円でこれに対する所得税額が四二四万三、四〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、前記正当税額との差額一、六七九万三〇〇円の所得税を免れ、

第三  同五六年分の実際所得金額が三、五〇三万八、二七四円で、これに対する所得税額が一、四八七万八、九〇〇円であるのに、右実際所得金額中二、一二九万一、二二二円を秘匿した上、同五七年三月一二日、前記大垣税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、三七四万七、〇五二円でこれに対する所得税額が三六二万九、八〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、前記正当税額との差額一、一二四万九、一〇〇円の所得税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  岡田昌子の検察官に対する供述調書

一  岡田昌子の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  岡田昌子の上申書三通

一  大蔵事務官村田孝作成の査察官調査書二通

一  大蔵事務官高橋京司作成の昭和五七年九月一七日付(記録証第一〇二号の分)及び同年一一月二日付各査察官調査書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官高橋京司作成の同年九月二四日付査察官調査書

一  大蔵事務官作成の証明書二通(記録証第七五号及び同第八一号の分)

判示第二及び第三の各事実につき

一  大蔵事務官高橋京司作成の同月一七日付査察官調査書(記録証第一〇三号の分)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書二通(記録証第七六号及び同第八二号の分)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官高橋京司作成の同月二〇日付及び同月三〇日付各査察官調査書

一  大蔵事務官作成の証明書二通(記録証第七七号及び同第八三号の分)

(法令の適用)

判示第一及び第二の各所為につき

いずれも昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条一項

判示第三の所為につき 所得税法二三八条一項

併科 懲役刑と罰金刑を併科

併合罪 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項(懲役刑については最も重い判示第三の罪の刑に加重、罰金刑については合算)

執行猶予 懲役刑につき同法二五条一項

労役場留置 同法一八条

訴訟費用 刑訴法一八一条一項本文

(裁判官 小島裕史)

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